day3-6 スラバヤツアー

滞在記

 この日は、いくつかの場所に車で連れて行ってくれて、盛りだくさんだったので、書ききれず、数日後に書いているので、記憶があいまいになってきている。基本的には、僕の短いスラバヤ滞在の間に、ビエンナーレのスタッフの人たちがツアーを組んでくれようとして計画してくれていたんだと思う。契約書のことと言い、こんなことを準備してくれることはあまりないことなので、ありがたいことである。短い滞在だが、何とか形にしてみたいという気持ちが沸いた。

 契約書にサインをした後、車であちこち回ることになった。アートフェアのような展示がスラバヤの中心街あたりで行われているそうで、そこへ連れて行くという話だった。中心街へ向かって行くと、大きなショッピングモールがいくつかあって、かなり栄えている印象があった。ロッテマートなどもあり、ソウルと変わらない印象を受けるエリアもあった。matahariという大きいショッピングセンターがあり、そのあたりは一番大きいショッピングセンターだとも言っていた。matahariは太陽という意味で、ここ以外にもムスリムは太陽が好きだからあちこちにmatahariという名前の店があると言っていた。

 展示会場の近くは、植民地時代のオランダの建物があり、展示会場もオランダが建てた建物だと言っていた。会場は元郵便局の建物で、広い空間がいくつかあり、152人のインドネシアの若手アーティストを紹介していた。継続されていくのかは不明だが、Art Subsという展示で、今年から始まった展覧会だと聞いた。5人で来たのだが、スタッフの持っていたおそらく招待券のVIPチケットでは、2人しか入れないことを入口で知ったような雰囲気があった。それで、入場料が高くて払いたくないから、2人で行ってきてと言われ、スタッフの3人は外で待つことになった。調べてみると、100000ルピーで日本円で1000円くらいの入場料だったようだ。後になって知ったが、一日働いて1000円くらいの日当だと言っていたので、確かにかなり高い。日本人の感覚で言うと1万円くらいはしていたのかもしれない。ペインティングが多いが、中にはコレクティブの活動を紹介するような展示もあり、いくつか面白そうな作品も見られた。

 展示を見終わった後、外にいた人達と合流。彼らはカフェで待っていた。そこで少しお話。一緒に展示を見た人が、いろいろと展示の感想などを話しているようだった。残っている人たちがいた手前、全然面白くなかったというような感想を言っていたと思う。その後、建物がオランダの植民地時代だったことなどから、独立した時の話をしてくれた。その話の後その歴史を伝えるホテルを訪れた。スラバヤは、インドネシアではスラバヤヒーローと言われているそうだ。インドネシアは、イギリス、オランダ、日本が植民地としてきた歴史があり、長い間植民地になっていた。最後はオランダが統治していたが、植民地時代を終わらせ独立のための革命が起こったのがスラバヤだったのだ。それで、今でもスラバヤがヒーローだと言われている。オランダの国旗は赤白青だが、青には祖国への忠誠心という意味があるらしい。革命では、国旗の青の部分だけを破いて独立をアピールした。それで、インドネシアの国旗が赤と白になったということを知った。その旗を破いてインドネシアの独立を宣言したのが、今も残されているホテルマジャパヒトで行われたと言っていた。ロビーには、独立の時の様子を伝える絵画が展示されていた。フランスの市民革命を伝える絵画も国旗を持っているが、それと似た印象を与える絵画だった。

 ホテルマジャパヒト等を見て付近を散策しているときに、一緒に回っていたスタッフに、あなたはムスリムだがお酒を飲めるのかと聞いてみた。するとお酒が好きだと言う。それで、滞在先に戻る途中、お酒を購入してくれることになった。ムスリムが80%以上の社会なので、お酒はどこでも買えるというわけではなさそうだった。わざわざ帰り道をそれて買いに行った。バーのような雰囲気の酒屋についた。韓国のチャミスルや、日本の獺祭なども取り扱っていて、想像していた雰囲気とは違った。購入したのは、インドネシアで作られていてる赤ワインと白ワイン、ビール。帰ってから数名で飲んだ。
 飲みながらムスリムについての話をいくつか聞いた。どれも興味深かった。
 飲んでいるときに悪いことをしている気持ちになるか聞いてみたら、自分は悪いムスリムだからそんなことはないと言っていた。その流れで、インドネシアのムスリムは、他とは違う宗派があるという話も聞けた。代表的な2つを教えてくれた。1つは、インドネシアに元々あったアニミズムと融合した宗派で、もう一つが、厳格なムスリムだ。他にもいくつか種類があると言っていた。一神教のイスラム教が多神教的なアニミズムと融合するというのは、なんとも興味深い。
 それから、もし、違う宗教の人を好きになったらどうするか聞いたら、それはそうとう難しいと口をそろえてみんなが言っていた。お酒は許されても、結婚は難しいようだった。家族から絶縁されると言っていた。それから、結婚の方法が二種類あるとも言っていた。役所に届ける方法と、モスクに直接行くのとがある。普通はモスクに行く。ムスリムの結婚は、ムスリム同士でないとできないために、2種類用意されているのだろう。新婦の父と、新郎とが結婚の契約を交わすらしいので、新郎と新婦のどちらかの家がムスリムではないという設定がないそうだ。
 お酒は、甘すぎるワインをビールで割るとちょうど良い感じになった。

 

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