Day6-3.「村の子ども達とバレーボールをする」

 昨日の夜、子ども達と約束をした16時になった。バレーボールをしようと誘われたが、どこにバレーボールコートがあるのだろうか。インポーに尋ねた時に指さしていた方向へ向けて出かけてみた。どっちの方向にあるかは分かっているが、具体的にどこにあるかは分かっていない。たどり着けるか分からないまま歩く。今日は朝からずっとスピーカーから音楽が聞こえているが、向かっている方向からも大きな音で音楽が流れている。今日は音楽がよく聞こえてくるなあと思っていると、目の前に子どもたちとバレーボールコートが見えてきた。コートの奥にスピーカーが置かれていて、そこからの音だった。もしかしたら、僕に場所を伝えるために爆音で音楽を流していたのかもしれない。到着してしばらくしたら、音が鳴りやんだ。

到着時の様子

 僕に気が付いて何人かが手を振ったので僕も手を挙げて応答。到着してすぐにバレーボールのゲームが始まった。地面はビーチのような砂が敷かれていて、足元がとられるので、皆裸足になっている。高校の時に体育でバレーボールをやって以来だった。久しぶりだし、バレーボールは得意ではなかったから自信はなかったが、プレーが始まってすぐにルールは思い出した。僕は2回ゲームをしたところでリタイア。汗だくになり、砂だらけになった。久しぶりに運動ができて良い時間になったが、太り過ぎていて動けない。バレーボールには、途中からPrewanganプレワンアンの若い大人達も数人参加していたし、小学生も高校生も一緒にプレーしていた。

インドネシアではバレーボールとサッカーが人気スポーツだと言っていた。みんなバレーボールが上手で、僕は足を引っ張った。
インドネシアのコレクティブ。子どもも大人も、みんな輪になって集まる。

 バレーボールの後は、子どもたちも、大人たちがしているのと同じように、輪になって休憩する時間があった。アイスティやお菓子を持ち寄り食べていた。子どもは、大人の真似をして育つ。みんな輪になって話をしていた。何人かはタバコも吸っていた。

 インドネシアのアートコレクティブは、世界中から注目をされているが、このような輪になって語らうことができる社会や文化的背景があるからこそ、多数のコレクティブが存在するのだと思う。インポーは、このような村の集まりのことをコレクティブと言って紹介してくれることがある。「あそこにあるのはフィッシャーマンのコレクティブだよ、あそこにあるのはタタカンのコレクティブだよ。」など、コレクティブという言い方で村の集まりを説明してくれる。たくさんのコレクティブが村の中にはあり、コレクティブが大きくなったり増えていき組織が大きくなれば、コレクティブがコミュニティへと育っていく。その為、多様なコレクティブがあればあるほど、成熟したコミュニティが育つのだろうと思う。このバレーボールの集まりをコレクティブだとは説明されなかったが、このような子ども達の集まりが、将来地域の活力の源になり、コレクティブのような形に変化していくのかもしれない。

町内会はコレクティブ?

 日本でも、祭りのための集まりや、子ども会、町内会などの集まりがあるが、それらはコレクティブだと言える。インポーは村の伝統的な祭りを準備している集まりのことも、アートコレクティブだと説明していた。目的意識を共有した小さな集まりのことをコレクティブと呼ぶが、このような集まりでは、個人が創造的なことを自由に実践しやすいメリットがあると思う。そのように考えれば、どのようなコレクティブも創造性を発揮する可能性があり、アートのような性質を持つ場合もあるだろう。僕は、彼らを見ていて、地域の集まりはもっと大事にすべきだろうと思うようになった。集まりをおろそかにすれば、子ども達は大人の姿から学ぶため、コレクティブを作る方法が分からない人ばかりが育ち、コミュニティは次第に弱くなっていくだろう。それが、今の日本の状況ではないだろうか。

 今日でPrewanganプレワンアンに来て3日目だが、こんなに早くいろいろなコミュニケーションが取れるとは思っていなかった。バレーボールをすることになるとは想像もしていなかったが、思いがけず、みんな気にかけてくれるため、とても助かっている。嬉しい。これが、コミュニティの中に入るという安心感なんだろうと感じた。  

近所に弁当屋さんを見つけた

 礼拝の時間になり、バレーボールが終わった。みんなそれぞれの家に帰っていく。僕もスタジオに戻る。今日は一人でご飯を食べることになっていたので、バレーボールコート横にあった小さな売店で夜ごはんを購入した。自宅の前の道にテーブルを出して、そこに食べ物を並べて売っているスタイルで、持ち帰り専用の商店だった。インドネシア語の数字が分からないため、一緒にバレーボールをしたPrewanganプレワンアンのメンバーに手伝ってもらって購入。バナナの葉を皿にして、僕が選んだ食材を包んでくれ、弁当にしてくれた。スタジオに戻って弁当を広げてみたが、バナナの葉は水分を弾くようだ。とても便利な天然の材料だなと関心した。テンペイと呼ばれていた天ぷらのようなもの、魚、スープ、米、麺、などをオーダーしたのだが、どれもとても美味い。ピーナッツを潰してソースを作っていたので、数日前にスラバヤで食べた、ぺセルという伝統的なスタイルの食べ物と同じ種類のものだと思われる。前食べた時はチキンだったのだが、ここの弁当は漁村らしく魚やテンペイがたんぱく質になっている。購入した時に、天ぷらのような食材を店主が指をさしながら「テンペイ」と言って教えてくれたので、天ぷらのことかなと想像していたが、調べてみると全然違った。テンペイ1は納豆のような発酵食品を固めたもののようだ。触感は白身魚のようで、納豆のような臭みはない。
 
 初めて見つけた、自分で購入しに行くことができそうな場所にある店なので、しばらく通ってみようと思う。


  1. テンペイではなく、テンペ(tempe)だったが、僕のメモにはテンペイと記録していたため、そのままにしている。テンペは納豆に似ているが、テンペ菌を使用して発酵したものらしい。納豆は納豆菌を使用している。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%9A ↩︎