

いつものカフェの前で、ワールドカップ予選インドネシア対日本の試合を観戦した。いつもはテレビは置かれていないのだが、カフェのオーナーがテレビを用意したのだろう。テレビの正面にベンチを設置し、ここに座るよう呼んでくれたから、テレビの正面に座って観戦していたが、試合の途中で後ろを見ると何人も立ち見がいた。試合は前半の最初に何度か続けてインドネシアチームがゴール前までボールを運んだために、叫んだりして盛り上がっていたが、1点2点と点数を日本に入れられるにつれ、あーだめだ。という雰囲気が流れた。なんとなく気まずいので早くインドネシアのゴールが見れることを願う。ここの人たちには、バレーボールとサッカーが人気のようで、サッカーが好きな人たちは、かなり熱の入った応援をしていた。観戦しながら、そうじゃない!違う!行け!等とたぶんそんなことを言いながら観戦していたんだと思う。日本でもスポーツバーなどに行けば、こういう雰囲気が楽しめるのかもしれないが、ここは、すぐ目の前に海が広がっているし、格別の観戦場所だったと思う。
後ろの方ではカフェのお姉さんが、せっせと飲み物を提供していた。一度に20、30人以上ここを訪れていることはないので大変そうだ。僕は、いつものようにコーヒーを頼む。サヤマウコピ タンパグルゥラ と言って、コーヒーの砂糖抜きを頼んだ。すると、いつもと違うことを言っている。大きいのにするか、小さいのにするか聞いてきた。いつも2杯頼んでいたから、大きいサイズを聞いてくれた。大きい方のカップを指してジャンギルと言った。大きいサイズのことをジャンギルと言うのか、コップの種類のこと言っているのか分からなかったが、僕もジャンギル!と言って親指を立てた。コーヒーを受け取ったときは、形がいつもと同じようなカップだからよくわからなかったけれど、隣の人のカップと比べると、確かに大きかった。隣の人が、それは、ここではノーマルではない。たぶんスペシャルなやつだ。と言っていた。ここで提供されるコーヒーは、カップの半分くらいまでコーヒー豆が残るので、カップの半分くらいしかコーヒーは飲めない。濃ゆいので、僕には好みなのだが、小さいコップだとすぐに終わってしまっていたから、大きいコップを用意してくれたのはありがたい。
試合は0対4で日本が勝った。僕は長い間テニスをしてきたので、サッカーのようなチームスポーツや、チームを応援することに熱狂する気持ちはあまり無い。テニスは個人競技だから、国とか全然関係なく見るからだ。だけど、スポーツはいつも人々を熱狂させるから凄い。スポーツをやめて美術をし始めた頃は、美術とスポーツは人を感動させる意味ではきっと似たようなものだろうと思っていたが、今となってはその気持ちは完全にない。ただただスポーツの熱狂を羨ましく見ている。美術の良さは、そこではない。そこではないと思っていたが、ここに滞在していると、そうとも言い切れないのかもしれないなとも思ってきた。ここのアートコレクティブとここのコミュニティはほとんど一体になる場合や、かなり重なる部分があるので、このサッカー観戦だって、彼らにとってはアートの活動と何等かの形で関係していると思われるからだ。それは、彼らにとっては当たり前のことで、意図的にしていることではない。Prewanganがこの街の人たちにかなり馴染んでいることは確かだ。

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