day7-4 マミー

滞在記

 サッカー観戦の後、スタジオにもどってメンバー達と僕の4人で飲む。

 ここのメンバー達は、それぞれがアーティストと言うわけではない(と言って良いか分からないが)。しかし、ここでは何をもってアーティストと言うかや何がアートなのか判断しづらい。少なくとも僕には分からなくなってきている。日本でも、アーティストは作品だけで食べれる人は数えるほどなので、別の仕事を持っているが、ここの人も全員が自分の仕事を持っている。どんなメンバーがいるのか全体はまだ把握できていないが、それぞれに得意分野や、役割があるようだ。到着した日に、この人はビデオ、この人は音楽など紹介されてはいた。最近分かってきたが、料理をするときは毎回同じ人が中心になっていることが多い。正確に決まっているわけではないが、料理担当のような立ち回りをしているのだと思う。その人は自分のことをサンジ(ONE PIECE)と言ったことがあったから、それぞれの活動のメリットや興味よりも、仲間的な意識を強くもったメンバーが集まっているのかもしれない。誰かがイニシアティブをとると、協力できる状態にいつもなっているといった感じがする。今日、アートコレクティブのイメージが僕の中でONE PIECEになった。

 ビールとワインを出し、インドネシアの音楽をスピーカーから流して音楽のことについて話したりしていたが、いつしか、ここの性教育や、日本のセクシー女優の話になった。僕の知らない名前の日本人女性の名前を知っているか聞いてきたからだ。前にも一度知っているか聞かれた名前だったので、誰なのか聞いてみた。アーティストかと聞くとアーティストだと言う。それで、どんなアーティストか聞くとセクシー女優だった。確かに、ネットで調べてみると今はいろいろな活動をされているようで、アートの話もしているようだ。僕とそんなに変わらない年齢だったから、引退されてけっこう経っているのではないか。なぜ彼らが彼女を知っているかと言うと、彼らの間で貸し借りしたり、一緒に見たりしたDVDが彼女のものだったそうだ。狭いコミュニティなので、たぶんあちこちへDVDは貸し借りされ渡り歩いているに違いないと、自分の中学時代を想像した。インドネシアではAVが禁止されている。インターネットもブロックされていた。VPNを使えば閲覧できるが、当然彼らはそれも知っている。海外旅行の際に持ち込めないのかと聞くと、もし見つかると警察に行かなければならないし、荷物チェックも厳しいからしないと言っていた。話ぶりからは、見つかった場合のリスクが大きいようだ。それで、外国人なら持って入れるかもと笑って僕にリクエストしていた。しかし、そのDVDは実際にここで共有されていたわけだし、誰かが持ち込まない限り手元に無かったはずだが、誰が持ち込んだのか彼らは分からないと言った。それから、性教育や人口増減についての話になり、日本の事情なども話した。基本的に彼らには幼少期の間に性教育はないと言っていた。それにメンバーの一人は、動物は性教育を受けなくてもセックスして子どもを作っている。なぜ教育が必要なのかと不思議がっていた。それは、確かに彼が自然なことを言っている。インドネシアは人口が増えているそうだ。日本の場合は、社会で生きていくことが難しいし、お金が必要だから、予期せず子どもを授かるのを避けるためだよと言った。ここで聞いた言葉でジョブレスという言葉がある。それはホームレスとは違う。仕事はないが、最低限のお金を時々得て生活している人たちのことらしい。確かに、コーヒーショップには毎日のように集まっているし、会社などで定職についていない人も多そうだ。それに、物価が安いし、コミュニティが強いので協力関係が持てるから少しのお金でも生きやすいのだと思う。調べてないから間違っているかもだが、健康保険も数百円だと言っていたし、病院は特別な治療を除けば無料だと言っていた。日本ではジョブレスは即座にホームレスになり兼ねないから、そんな言葉は発明されようが無い。しかし、そういう生き方もここにはあるようだ。

昨日撮影できていなかったので店内の様子を撮影。路地の一角にある。道路と面したところにこのフローリングが作られていて、食事は屋外。屋根はある。外の風と、床が気持ち良い。
フライドエッグや、テンペイのフライの下には、麺二種類、野菜が少し、米などある。昨日と同じピーナッツのソース。

 午前1時。昨日も行った、深夜食堂へ。オーナーのおばちゃんは、マミーと呼ばれているそうだ。多くの人に親しまれている様子。とても元気がよく、僕に対しても挨拶を英語でしてきたりしてくれフレンドリーだ。料理が完成するまで皆タイルの上で転がっている。今日はフライドエッグを選択。美味い。遠くの方で雷が光った。
 食後。帰宅。就寝。

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