Day9-1.「インスタント麺とDIYスピーカーとコーヒーの蓋」

初めてキッチンを使う

 昨日、インスタント麺をたくさん買ったのと、ガスの付け方がようやく分かったので、朝からインスタント麺を食べてみた。冷蔵庫の中に昨日余っていた煮干しがあったので、それを一緒に茹でて具にしてみたが、これ以上悪い見た目があるだろうか。このインスタント麺はIndomieインドミーと言ってインドネシアの国民食と言われている。世界一のインスタント麺だとインポーは言っていたが、このように何の具材も入っていない状態では、さすがに世界一を発揮できていないだろう。しかし、見た目はともかく、確かに味は美味かった。付属されているソースや粉末の小袋が5つも添付されているので、一言で表すのが難しい複雑な味わい。Mi Gorengミ ゴレンというのは、焼きそばらしいので、本来は茹でた後に野菜や肉と一緒に炒めるべきなのだろうが、具材が無いので仕方がない。野菜や肉を買いたくても、近場で買えそうなところが見当たらないのだ。生活と制作は似たところがあると考えているので、今日のところは、ひとまずスタジオのキッチンを初めて使ってみたということが大事なのだ。

みんなDIYスピーカーが大好き

 レジデンスについてのオンラインミーティングがあった後、スピーカーを作っていると聞いたので見学に行く。Prewanganプレワンアンのメンバーが地元の子ども達がつくっているスピーカーの修理を手伝っていた。スピーカーはコンパネを組んでつくられたもので、バレーボールコートで使っていたスピーカーも彼らが制作したものだったらしい。この村では物凄く大きな音量で音楽を流しても何の問題もないため、大きな音でしっかりと低音まで表現できるものが求められているようだった。修理の内容は、大きな音を流すと、時々プツプツと音が切れる場合があり、それが気に入らないという様子。大音量で音楽を流しながらアンプのチェックを行ったりしていた。修理の様子など観察していて、電解コンデンサーが弱いのではないかと思いながら眺めていたが、回りにいる大人達もいろいろ思うことがあるらしく、あーでもないこーでもないと話を始めていた。モスクからは毎日のようにスピーカーから大音量が流れるため、スピーカーは彼らの必需品でもあるのだろう。そのため大音量のサウンドシステムに詳しい人が多そうだ。

ジャワコーヒーの飲み方
ソーサーを蓋にしている様子。
蓋も一応あるようだが、あまり見ない。

 いつものように昼過ぎにカフェを訪れる。このカフェでは、必ずコーヒーカップとソーサーのセットで提供される。本来のソーサーの使い方にどんな意味があるのか知らないが、ここのカフェを訪れる人は、ソーサーを蓋として使う。放っておくとハエがよってくるのでそれを防ぐことができるし、海が近いので砂埃が入ることも防ぐことができる。また冷めてしまうのも防ぐことができる。ソーサーではなく、ちゃんとした蓋もあるようだが、あまり蓋が出されることはない。それは、ソーサーにはもう一つ使い方があるからだ。ジャワコーヒーは、コーヒー豆にそのままお湯を注いで飲むため、カップの底に豆が溜まる。そのため豆が沈んできた頃に上澄みだけを飲まないと、豆ごと飲んでしまうことになる。コーヒーが提供されてすぐは豆が沈んでいないので飲みずらいのだが、ソーサーに一口分くらいをこぼすことで、早めに飲み始めることができるようになるのだ。そのため、蓋ではなく、ソーサーが必要になる。コーヒー豆はエスプレッソを淹れるときのように細かく挽かれているため、ソーサーやカップに残るコーヒー豆は泥状になるのだが、この泥状のコーヒー豆をタバコに付けて吸う人がたくさんいる。そのため、コーヒーを飲みながらタバコを吸いたい人は、予め多めにコーヒーをソーサーにこぼして、泥状のコーヒー豆をタバコに付けてからコーヒーを飲む人もいる。