タタカンという伝統舞踊のチームがこの地域には各村にあるらしい。午後20時。インポーが隣村のタタカンのチームの所へ案内してくれた。ここでもカフェの前にくつろげる場所があり、みなそこにいた。20人くらいはいただろうか。座る場所がないので、10名くらいとすぐ近くのくつろげる場所に移動。タタカンのコレクティブだと紹介を受ける。メンバーと握手。ここの握手は握手した後、手を胸に当てる動きをする。

ジャワは90%近くの人がイスラム教だ。歴史的には、仏教、ヒンドゥ教も信仰されてきたことがあったり、もともとあったKAPITAYANというオリジナルの宗教は今も信仰されている。タタカンは、このKAPITAYANに由来するものと思われるが、日本の獅子舞とも共通する点があるので、神道とも似た部分があるのだと思う。自然を信仰する宗教で、偶像などはなく、海や木などを崇めていた点も共通している。タタカンのメンバー達は、KAPITAYANについても詳しいようだった。メンバーの中にはアラビア系イスラム教の学校の先生もおり、イスラム教とKAPITAYANの共通点を教えてもらった。まず偶像が無い点が挙げられた。確かに今日モスクへ行ったが、偶像はない。KAPITAYANも無形のものを信仰している点は同じだ。ただ、KAPITAYANのほうは、海の神や木の神など多神教として信仰されていたのではと僕には思われるが、イスラム教と融合していく過程で、それらをまとめて1つの自然を神と設定し一神教へと変形させていったのかもしれない。それから、両方とも太陰暦で祀り事が行われているようだ。KAPITAYANとイスラム教は同じだ。というような言い方をその先生はたぶんしていた。信じ方はいろいろである。このようにして宗派ができるのだなと思った。
正月には、クリスという剣を洗う習慣がある。日本でも大晦日には大掃除をするが、そのようなニュアンスがあるのかもしれない。クリスはきっとKAPITAYAN由来だと思うとインポーは言っていた。クリスには様々な機能が付加されている。クリスの職人がゴーストの力を剣の中に入れると言っていたので、霊媒師のような人がクリスを作ってきたのだと想像した。金運や愛、力等の機能がそれぞれのクリスにはある。また、クリスの力を使用するには、3日間のファイスティングが必要だ。しかし米だけは食べて良いらしいのでファスティングと呼べるのか分からない。それから最後の一日は寝てはいけないそうだ。クリスの話の後に、日本でいうところの藁人形のような呪いで、ブラックマジックについての話もあった。

夜12時。インポーはタタカンのチームの人から、長いニョロニョロした木の棒をもらって帰る。23日にある伝統的パフォーマンスを披露するイベントで使うための素材なのかなと思った。バイクの後ろに乗って移動。来る時に、国道の真ん中にいた子猫二匹を助けたのだが、彼らは母をみつけたようだとインポーがバイクに乗りながら言った。僕は後ろに乗っていたので猫たちに気が付かなかったが、国道脇で暮らす猫の家族がとりあえず生き延びているようで良かった。スタジオのすぐ近くまで戻った所で、Prewanganの一人と出会い。少し座って話すことに。持っていた木の棒について話すことになった。後から聞くと、なぜもらったのか分からないし、くれた意味も分からないと言う。それで、皆で笑った。ニョロニョロした形をしているから、クリスにできるんじゃないかと言ったら、インポーが貧乏になる機能を入れて、役に立たないクリスにすると言った。使うときはファスティングもしなきゃと言うので、僕も正月には毎年掃除しないといけないね。と言った。タイトルはブラックマジックにすると言う。なぜだか泣くほど笑ってしまった。
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