
10時半頃起床。最近、寝るのが遅いので起きれない。起きたらすぐにインポーが来て、いつものカフェへ行くことになった。今日もいろんな新しい情報を聞くことができた。
Hackteria
Hackteria1というチームについて聞いた。Prewanganでもワークショップを行ったようだ。Hackteriaは、デジタルメディアを使用した知識の共有や普及を目指している組織で、世界中で活動している。日本でもワークショップを行っているようだ。PrewanganではTUAKというプロジェクトを行っている。TUAKはジャワのお酒のことで、Prewanganのレジデンスプログラムの名前でもある。
Prewanganの作品は、Arduinoなどを利用したデジタル作品も多いのだが、彼らのプロジェクトに参加したことがきっかけになっているのかもしれない。エッチングによるオリジナル基盤の制作なども、Hackteriaのワークショップで学んでいる。
ワヤンクリット
伝統的なワヤンクリットという影絵芝居についても聞いた。ジャワやバリで見ることができる。この影絵芝居の上演には7、8時間かかり夜通し行われる。Prewanganのメンバーには、この人形を動かす人形師もいる2。バリのワヤンクリットは、ヒンドゥ教の影響を受けたものだと想像するが、ジャワのワヤンクリットは、タピカヤン、仏教、ヒンドゥ、イスラム、という複数の宗教から影響を受けてきた歴史があったり、上演される演目もイスラム教に合うよう変化している。そのため、ワヤンクリットは、ジャワ文化の歴史を総合した芸術形式と言える。
イスラミックスクールへ行く
前にキャンセルになっていたイスラム教の学校へ、今日の19時から行くことになったことを聞いた。
19時。インポーの車の運転で移動。僕は助手席で、後ろに3人同乗していた。みんな何やら楽しそうに話している。車内では、70年代か80年代くらいのものと思われる昔のインドネシアの音楽が流れていた。日本の同時代の音とも、何となく似たものを感じた。それを聞きながら、時折みんなは歌っていた。
インドネシアのカラオケ
車内の音楽を聴きながら、インドネシアのカラオケについて聞いた。Prewanganは9回目の東ジャワビエンナーレに参加しており、その時にモバイルカラオケのような作品を制作している3。グラフィティやパーティをするコレクティブ等、3つのコレクティブが共同で制作したと聞いていた。そのことを聞いたことがあったので、カラオケについて質問してみたのだった。
意外な答えが返ってきた。インドネシアでは、カラオケにはネガティブなイメージがあるそうだ。キャバクラのような風俗店にカラオケが設置されていることで、ネガティブなイメージの原因だそうだ。彼らの作品では、街中に屋台のようなDJブースを用意し、リクエストに応えて音楽を流したりするものだったらしい。街中の労働者がストレスを発散できるような仕組みを公共空間につくろうとしたのだろう。
イスラミックスクールに到着
学校へ到着。車から降りると、生徒と思われる人達が数名で僕たちを撮影していた。いったい何のために撮影されていたのか、未だに良く分かっていない。案内されるままに校内へ入っていく。立派なカメラが僕たちを記録していた。

校内は、かなり整っており、清潔に保たれていた。木造の屋根と床のタイルが美しく調和しており、リゾートのような空間に通された。中庭のようになっており、壁側に設置されている本棚には大量のアラビア語の本が並んでいる。机の上には食べ物がたくさん置かれていた。しばらくすると、見るからに高級そうな黒い服を着た女性が生徒3人を引き連れて現れた。一緒に来た全員が、何が起こっているのかあまり理解できず、戸惑っていた。
イスラミックスクールの校長先生
女性が突然日本語をしゃべり始めた。一緒に来ていたPrewanganのメンバー4人は、より一層静かになった。僕も戸惑う。女性は、自分が校長であると自己紹介し、はっきりとした口調で日本語を喋り始めた。時々動詞の活用を間違えたりすることはあったが、意味は分かる。単語を思い出せない時には、隣に座っている女生徒に聞いて、再び日本語を話すことに挑戦していた。
この学校は、イスラム教についてなどを学ぶ寄宿学校であること、彼らは日本に行ってみたいこと、日本語を学んでいるということなどの説明があった。校長先生は、独学でテキストのみで学んでいるそうなので、かなり努力しているのだと思う。他にも中国語も勉強しており、英語もスラスラ話していた。
いくつかの質問に数分答えた後、写真を撮りたいと言うので、その場で集合写真を撮る。校内にある校長の自宅でも一緒に写真を撮りたいと言うので、みんなで移動。映画のセットのような豪邸であった。あまりの豪邸で、他の家とのギャップがありすぎて可笑しくなってきた。それに、いったい何のための写真なんだろうかとPrewanganメンバーも思ったはずだ。デビ・スカルノ氏はこんなものではなかったのだろうなと、少し連想した。富が一か所に集中しているんだなと想像。日本語の能力を確認した後、彼女たちは自宅に戻っていった。

イスラム教についての話
彼女達が去った後は、残された男性教諭と食事を頂いたり、話を聞いたりした。インドネシア語なので、何の話をしているのか分からなかったが、おそらくイスラム教の話をずっとしていた。ジャワのイスラム教は、いろいろな文化が混ざって変化しているためとても興味深く思っている。それは、おそらくPrewanganメンバーも同じで、先生に直接話を聞いてイスラム教について確認をしているんだろうなと思った。
・・・
全く分からない時間を3時間くらい過ごしただろうか。途中で、インドネシア語を学ぶべきなんだろうかとさえ思った。しかし、僕は全部はできない。英語も不十分だし、今は韓国語も習いに行ったりしている。今回の作品のプランや制作もしないといけないから、すぐには無理だなと思った。何事も腰を据えて、少なくとも数年は1つのことに集中して時間を使わなければ僕には無理だ。
何でも興味があるが、時には諦めも肝心
僕は作品に関しても遅いタイプで、少なくとも1年前から準備しないと間に合わない。今回はすでに会期までに一年を切っている。物事に集中するためには、諦めも肝心である。
僕は何にでも興味が行きがちな性質があるので、何でも手当たり次第に初めてしまい、薄っぺらくなってしまうことがあるので、上手に諦めるというのが一番苦手だ。諦めれなくて、頭の中がゴミ箱のように整理がつかなくなり、ぐちゃぐちゃになった頃にようやく失敗作ができたりする。主に、それが僕がしてきた作品である…。
車に乗って一時間かけて帰宅。校長先生は、あまりにも煌びやかだし個性的だったが、自分で語学を学ぶ姿を積極的に寄宿生に見せており、きっと良い教育者なんだろうなと思った。am 2:30 就寝。
- Hackteriaウェブサイト(https://www.hackteria.org/)
HackteriaがPrewanganで行ったプロジェクトの記事(https://www.hackteria.org/wiki/TUAK) ↩︎ - Prewanganメンバーの人形師によるワヤンクリの様子。約7時間もの映像だ。
参考:https://www.youtube.com/watch?v=nCjeiHhO988 ↩︎ - Prewanganの作品参考1(https://www.instagram.com/p/CjlYI1uB4vA/)
作品参考2(https://www.instagram.com/p/CjkoJvXNVQ0/) ↩︎