聞こえなくなっていたアザーン
昨日の夜。Prewanganでの滞在期間が終わり、スラバヤにあるSerbuk Kayuに戻ってきた。ビールが冷蔵庫にあると言うから飲みながら、Serbuk Kayuメンバーでビエンナーレの運営に携わっているリシャが話に付き合ってくれた。「朝のアザーンがPrewanganでは聞こえなかった」と言ったら、そんなことはない、あなたが寝ていただけだと言われた。
朝10時起床。
確かに寝ていただけだったようだ。全く朝のアザーンに気が付かなかった。ここで寝た最初の日は、朝3時頃のアザーンで目が覚めたのに、今日は全く聞こえなかった。朝のお祈りは日の出と共に行われる。そのため、礼拝の時間を知らせるアザーンは、太陽が出るより前に鳴りはじめる。その為、3時半頃からアザーンが鳴りはじめる時もある。

起き上がって台所に出ると、リシャが料理をしていた。コンロでは調理中の鍋がぐつぐつしている。リシャはテーブルで野菜を切っているところだった。昨日の夜の会話で、僕たちは食についての話もしたのだが、食事を振る舞ってくれるという話になっていたのだった。本当は朝市に行って食材の買い出しに行くことになっていたが、すっかり寝坊してしまった。すでにいろいろな食材がテーブルに並んでいる。


世界一の料理
インドネシアに来る前は、中国の四川料理が僕の中では世界一だったが、今はインドネシア料理が世界一になった。しかし、麺類や水餃子など、中国の味は忘れられないため、世界一が二つあることにしたい1。
インドネシア滞在中に食べたどの料理も美味しかったので、帰国してからも家で作れたらと思っている。特にサンバル2というソースは、米に合うし、肉にも魚にも合うため、料理の幅が広がりそうだ。今日はサンバルを実際に作ってくれると言う。
リシャの料理
リシャは食事についてのリサーチや、食事をコンセプトにしたコレクティブを作っている。食に関連する専門家だ。ジャカルタに住んでいたときは、植民地時代の影響を受けているインドネシア料理を展覧会のオープニングパーティで振る舞うなど、単に食事を楽しむだけではない食事の時間も提供しているようだった。食を通じたコミュニケーションが彼女の得意分野だ。
僕はPrewanganで、日本料理を振る舞おうとしたが、失敗作を作ってしまった。次回作る機会があるならば、使い慣れた調味料はいくつか持参すべきだと思っている。美味い食事を作ることは、良いコミュケーションの機会になるに決まっている。不味いものを出すと惨めで酷い気持ちになるので気を付けたい。
日本食研究の提案
日本食はシンプルな見た目になりやすいので、素人の腕では振る舞うのが難しい。それに、日本食と聞いて外国人がイメージするのは、刺し身や寿司だが、インドネシアは毎日暑いので、鮮度の高い魚を手に入れるのが難しいことや、生魚を食べる文化がないため、刺身を振る舞ったとしても気持ち悪がって好まれない。
今回の滞在で思ったが、日本食が今よりも世界で特色を出すには、発酵食品の調理方法を研究すべきだと思った。韓国料理が世界で人気なのは、キムチやコチュジャンなどの発酵食品を使用した調理法が豊富にあり、それが奥深さを持たせているのではないか。日本食は、寿司などの加工法が美しく洗練されているが、味噌や納豆、漬物、日本酒など、特徴的な発酵食品が多数あるのに、それらを利用した調理法は、あまり豊富ではないように思う。
インドネシア料理にかかせないサンバル
僕が食べてきたインドネシア料理の特徴は、
①ココナッツの風味と、唐辛子の風味と辛み。
②カニやエビなどの魚礁のようなもので味に深みを持たせる。
③これらに、サンバルのようなソース、あるいはピーナッツと醤油などをベースにした甘辛いソースをかけ、ごはんと一緒に食べる。
以上の3点の中でも得にサンバルは、ご飯を進ませる大きな要因になっていた。サンバルの作り方を知りたいとずっと思っていたが、リシャがつくり方を教えてくれた。今日つくったサンバルは以下のレシピだ。
サンバルのレシピ
①エシャロット(玉ねぎの一種)2個につき、ニンニク1片の割合いで、皮をむく。
②大きい唐辛子を①で用意したものと同じくらいの量用意する。
③小さい唐辛子を適量。(小さい唐辛子が辛みになる。大きい唐辛子は辛みではなく風味が強い。)
④ミニトマトを少し。この日は2つ。
⑤全ての食材を油で軽く揚げる。(この工程は無くてもできるが、油を使用することで保存期間が長くなる。)
⑥全てをすり潰す。(インドネシアでは石臼のようなものですり潰す。)
⑦⑥にトラシ3を少量入れ潰す。(トラシは小エビを発行させてつくられる調味料だ。見た目は固形のコンソメのように見えるが、これを手に入れるのが日本では難しい。見た目が似ているので、とりあえずコンソメで代用して作ってみたい。)


料理が完成
リシャは手際よく6品もの料理をつくってくれた。サンバルと、Indomieを使ってつくったチジミのような食べ物は、作り方を教えてもらいながら僕も手伝った。

他に、ココナッツの実、豆腐、玉ねぎ、にんにく、調味料等を混ぜ合わせたものを、バナナの皮で包み蒸したもの。ココナッツジュースのみを入れて骨付き肉を茹で、醤油や砂糖、唐辛子等で味を付けし、ゆで汁が全て無くなるまで煮たもの4。とうもろこしのフライ。つくったサンバルを加えて調理した鶏肉など。豪華な昼食を振る舞ってくれた。







- 2017年のCNNによる世界一美味しい料理ベスト50では、1位と2位にインドネシア料理がランクインしている。そして、3位に日本の寿司がランクイン。
参考:CNN(World’s 50 best foods) ↩︎ - サンバルは、チリソースの一種。日本でも良く知られているナシゴレンなどには欠かせない。ソースというよりも、ふりかけのようにご飯のお友として食べられるケースもよく見かけた。
参考:Wikipedeia(サンバル) ↩︎ - 参考:Wikipedia(トラシ) ↩︎
- イスラム教では豚を食べれないので、おそらく牛か羊のスペアリブだったと思われる ↩︎